財務諸表の見方を勉強してみる
2024年10月6日
そろそろお金のこととか会社のこととか勉強しといた方がいいかなーと思って手に取った一冊。
決算分析の地図 財務3表だけではつかめないビジネスモデルを視る技術
知らないこと多すぎてめっちゃ面白かった。実際に世の中に公開されている情報をもとに解説してくれていて、どのように分析すれば、そのとっかかりが分かる一冊。
参考になったこと、知らなかったことなどを本からピックアップしつつ、追加で調べたりしてまとめた。引用しているところは、出所を明記していない限り本書からの引用である。
自分が分かる程度の箇条書きで書いてあるけど、実際はグラフなどで図解されているのでかなり分かりやすかった。
本書で一番面白いのはこれから書くようなテクニックを実在する企業の財務諸表を見ながら解説してくれるところだと思った。ので、そこは書かない。
自分の意見や本に書いてあったことをごちゃ混ぜにしてメモっているので、ぜひ本を読んでみてほしい。
感想
最後までざっと読んで思ったことはさまざまな情報を注意深く読み、違和感を見逃さないこと、そして浮かんだ疑問をそこで終わりにせず、時系列、他社比較などを通して腹落ちさせることを繰り返すことで視る技術が少しずつ身に付くのかなーと思う。
とか書きながら、なにげなく、第一章をパラパラとめくっていたら
一次情報の数字だけを見ても、何もわからないのは当然です。そして、この「疑問に思うこと」こそが大切なのです。「問い」や「疑問」を一つ一つ解消していくことが、実はそのまま企業分析につながるのです。
と書いてあってこの著者すげーなと思った。大事なことはちゃんと最初に書いてあるし、読み進めていくうちにどこに違和感や疑問が隠れているか、その探し方も含めて教えてくれる本なんじゃないかと思う。
個人的には、いまはブラウザにAIが搭載されているので、有価証券報告書についてまずはAIに分析させつつ、一つ一つ紐解いていくのも考え方を掴むのもいいかもしれない。鵜呑みにするのはよくないけど。
あと、本読んだあとにYouTube漁ってたら決算書の基本 BSの○○比率にこだわると資金繰りが悪化するっていう動画もあって、現預金を軸に考えられていないと本に書いてあるような流動比率や自己資本比率ばっかりを意識しすぎても意味がないと言われていた。
本も動画も納得のいく内容なのでどちらも正しく、状況によって見るべき情報や優先順位が変わってくるのだと思う。
調べれば調べるほどいろいろな見方が出てくるので、まずはいろいろな財務諸表を見て、自分なりの情報の掴み方を身につけたいと思う。
企業情報マップ
企業分析をするにあたって特に有用と思われる企業情報。本書ではマトリクスで表されている。
- 財務情報は過去に関する情報と未来をに関する情報の2種類ある
- 過去に関する情報
- 有価証券報告書
- 決算説明資料
- 決算公告
- 未来に関する情報
- 株価のサイトなど
- 決算短信
- 中期経営計画
- 目論見書
- 過去に関する情報
- 売上や利益など以外の非財務情報には統合報告書やコーポレートガバナンスに関する報告書などがある
- 自社視点の情報を他社と比較した競合他社の視点も必要。業界地図なども参考にすること。
7つの定石
企業分析するにあたってのポイントを筆者が7つ挙げている。
- 企業の一次情報を取得すること
- 決算書の裏にいるステークホルダーを意識すること
- 企業のKPIが何かを把握すること
- 決算書をグラフ化や図解してシンプルに表現して対極的に捉えること
- 時系列や他社の観点から比較を行う
- 会計視点とファイナンス視点の両方を持つ
- 決算書の裏側に隠れているビジネスモデルを見つけ出す
有価証券報告書について
金融商品取引法によって、上場企業は半期に一回の開示が義務付けられている。また、公認会計士による内容の監査が必要なので、情報として信頼できる投資家保護のための資料である。
記載する内容は様式が定められており、様式は金融庁のページにまとまっていた。
- 第一部:企業情報
- 第1:企業の概況
- 第2:事業状況
- 第3:設備状況
- 第4:提出会社状況
- 第5:経理の状況
- 第6:提出会社の株式事務の概要
- 第7:提出会社の参考情報
- 第二部:提出会社の保証会社等の情報
- 監査報告書
- 内部統制報告書
親会社株主に帰属する当期純利益
私が参考にしていた有価証券報告書で出てきた項目で分からなかった情報その1。
非支配株主に帰属する当期純利益とは?わかりやすく解説! | クラウド会計ソフト マネーフォワードによると、
例えば、親会社の持分が60%である場合、40%は親会社以外の株主(非支配株主)の持分であるため、これを無視して子会社の当期純利益の全額を親会社のものにはできません。被支配株主持分に属する40%を当期純利益から差し引きする作業が必要です。
非支配株主持分に属する40%を控除したあとの金額が「親会社株主に帰属する当期純利益」となり、これを連結株主資本等変動計算書に利益剰余金の増加として記入します。
簡単に言えば、株主が得られるリターン(利益)に直結するので、配当金や株価上昇の指標になる。
包括利益
私が参考にしていた有価証券報告書で出てきた項目で分からなかった情報その2。
包括利益|証券用語解説集|野村證券によれば、
当期純利益に保有資産の含み益や含み損を織り込んだ利益のこと。 包括利益 = 当期純利益 + その他の包括利益 為替レートや金利、株価等の変動で、将来的に当期純利益に反映される可能性のある資産価値の増減額を「その他の包括利益」として、当期純利益に加えたものとなる。
特にグローバル展開する企業や、多くの金融資産を持つ企業では以下のように重視される。
- 利益は黒字だが、為替などの評価損が発生して包括利益が赤字になることもある
- 利益が増加しているが、毎期の包括利益が安定しない場合は、金融市場や為替に影響を受けやすい事業を展開している可能性がある
- 為替などのリスク管理が上手い企業は包括利益が安定することが多く、同業他社と比較することで市場環境への対応力が見えてくる
損益計算書(PL:Profit and Loss Statement)
有価証券報告書では、損益計算書という名前で売上高をMAXとして、最終的な利益までの内訳が書かれている。
これまでの経営成績がわかる資料であり、売上高、費用、利益の3つが特に重要なポイントとなる。
各内訳に対するステークホルダーが誰なのかという観点は分析する上での重要な視点となる。
貸借対照表(BS:Balance Sheet)
有価証券報告書では、貸借対照表という名前で資産の部、負債の部、純資産の部に分けて書かれている。
ある時点の財政状態がわかる資料であり、資産、負債、純資産の3つが特に重要なポイントとなる。
資産のうち、流動資産は1年以内に現金に換金できる資産、固定資産は土地とか建物とかソフトウェアとか短期的には現金化しにくいものが含まれている。
総資産をどのくらいの割合でどのような資産に配分しているかを視ることでビジネスモデルが部分的に見えてくる。
負債のうち、流動負債は1年以内に支払い期日がくるもの、固定負債は支払い期日が1年以上先のものが含まれている。
流動比率(流動資産と流動負債の割合)を見ることでどのくらい流動性が確保できているかがわかる。一般的には150%程度確保できていると安心らしい。
自己資本比率(純資産と総資産の割合)を見ることで負債が少なくどのくらい安全なのかが見えてくる。一般的には30%が目安で、50%までいくと優良企業レベルとか。
PLとBSの関係
PLで整理した、売上高から各費用を引いたものが純利益となり、その純利益がBS上に現れる利益剰余金という形で純資産に含められる。
PLは1年の間にどのような支出がどれくらいあるのかを示し、BSはある時点での資産や負債の内訳を示しているイメージ。PLはフローで、BSはストックと呼ばれたりもするらしい。
キャッシュフロー計算書(CS:Cash flow Statement)
PL、BSからは読み取れない営業活動、投資活動、財務活動に関するお金の動きを示したもので、どのようにお金を手に入れたのか、使ったのかがわかる。
企業の生命線であるキャッシュの変動は以下の3つからなる。
- 事業から得る(営業CF)
- 資産の売却や設備投資など(投資CF)
- 借入や株式発行で得る(財務CF)
BSはある時点の累計、ストック情報を示すものなので、例えば今年1年で借り入れた金額がいくらなのか、という情報は見えてこない。そういう場合はCFを確認する。
このうち、営業CFと投資CFを合算したものを過去の会計データから計算するフリーキャッシュフロー(FCF)と呼び、本業で稼いだお金を投資に回しつつキャッシュを残せているかどうかを見ることができる。
自由に使えるお金として「フリー」というらしい。M&Aなどの文脈ではまた別の計算方法で算出するフリーキャッシュフローがあるらしい。
CSを見るポイント
- 期初と期末のキャッシュの変化を見る
- どのように変化したのかを把握する
- 営業CFが増えているか、減っているか
- 投資CFが増えているか、減っているか
- 財務CFが増えているか、減っているか
それぞれが増えている、減っているを組み合わせてパターン化することで把握がしやすくなる。
タイプ | 営業CF | 投資CF | 財務CF | 特徴 |
---|---|---|---|---|
安定 | + | - | - | 本業で稼ぎつつ、追加投資、借入金の返済、配当金も出している |
積極投資 | + | - | + | 本業で稼ぎつつ、資金調達、設備投資も積極的 |
BS改善 | + | + | - | 本業で稼ぎつつ、資産を切り売りして債務を軽くしている |
積極ピボット | + | + | + | 本業で稼ぎつつ、資産を切り売りして資金調達も行いビジネス展開を狙っている |
スタートアップ/再建的ピボット | - | - | + | 本業で稼げない分、資金調達をして投資に回している(積極的なのかどうかはCSだけでは判断できない) |
注意 | - | + | + | 本業で稼げない分を、資産の売却、資金調達で穴埋めしようとしている |
リストラ | - | + | - | 本業で稼げていない分、資産を売却して弁済にあてている |
過去切り崩し型 | - | - | - | 本業で稼げていないが、過去の資産を切り崩しながら投資、弁済を行っている |
利益の種類
日本の会計基準では利益は5種類に分類される。
- 売上総利益(粗利):売上高 - 原価(製品やサービスを作るのにかかった費用)
- 営業利益:売上総利益 - 販管費(販売や管理にかかった費用、人件費、広告費、家賃など)
- 経常利益(けいつね):営業利益 +- 営業外損益(利息収入、利払い、為替)
- 税引前当期純利益:経常利益 +- 特別損益(一時的な利益や損失)
- 税引後当期純利益:税引前当期純利益 - 税金(法人税、住民税、事業税)
株主に帰属する最終的な利益は最後の税引後当期純利益となる。
減価償却
設備投資をした際に、支払った金額を全額支出として計上するのではなく、何年かに分割して計上して資産価値を減らしていくこと。
支払い自体は最初に全額済ませているので、それ以降はキャッシュアウトは発生しない。逆に営業CFに減価償却費として計上されるようになる。
PLには設備投資などは数値として出てこないので、単純に純利益だけをみて経営状況を判断するのではなく、CFもあわせてみる必要がある。
自社株買い
自社株買いがなんで株主への利益還元になるのかが自分の中で繋がってなかったので、調べた。
- 1株当たりの利益(EPS)を増加させる
- 自社株買いを行うと、市場に出回る株式数が減る
- 株式数が減ると、同じ利益でもEPSが増加する
- EPSの上昇は、株価の上昇につながることが期待できる
- 株主への直接的な資金還元
- 自社株買いは、会社が資金を払って自社の株式を買い戻すため、株主は間接的に資金を受け取ることになる
- 特に、自社株買い後に配当を行う場合は、株主への直接的な資金還元となる
自社株買いを行う資金は、事業投資など、より価値を生み出す用途に使うこともできるし、短期的な株価操作のために利用される場合もあるので、なんのための自社株買いなのかは注意すること
時価総額
時価総額は1株の株価 * 株式発行数で算出される。本来は実績値ではなく、企業が将来生み出すであろうと予想されるキャッシュフローによって決まる。
時価総額に占める有形資産の割合が無形資産よりも低くなってきている。AIモデルのようなテクノロジーは無形資産となり、BSには必ずしも計上されない。
PBR
PBRは時価総額が純資産の何倍あるのかを見る指標。
- PBR = 時価総額 / 純資産 = 株価 / 1株あたりの純資産
PBRが1より低ければ、資産を全て換金して負債を返済した場合、株主に戻ってくるお金は純資産以下となる。
PBRが1より多ければ、純資産以上の価値があるということになるが、1以上の価値というのは、将来に対する期待値や財務情報には表れない価値だと捉えられる。
PER
予想PERは時価総額が予想当期純利益の何倍あるのかを見る指標。
- 予想PER = 時価総額 / 予想当期純利益 = 株価 / 1株あたりの利益(EPS)
※ 当期純利益がマイナスの場合はPERは計算できない。
株主が1円の利益を得るために何倍の株価を支払っているかも表していて、倍数が大きければ大きいほど期待が大きく(がその分割高)、小さいほど割安だがリスクもある、などと分析される。
同じ業界の他企業と比較しながら判断するといいらしい。
PSR
予想PSRは時価総額が予想売上高の何倍あるのかを見る指標。
- 予想PSR = 時価総額 / 予想売上高
PBR、PER、PSRの関係
時価総額は株価と発行数から算出されるため、いずれも株式からの視点で見た数値となる。
時価総額が純資産、純利益、売上高の何倍(何年分)の価値があるのかと読み替えられるので、株式市場がその企業が今後何年分の成長することを見込んでいるかどうかを示しているとも捉えることができる。
ビジネスモデルのヒント
- 売上高がどんなサービス、商品で構成されているのか、その内訳を見る
- PLの構成(売上高から利益になるまでのコストなど)の内訳を見る(滝チャート)
- どのキャッシュフローの割合が多いか(どうやってキャッシュを調達しているか)
売上高成長率とROIC
売上高成長率は、企業の売上高がどの程度伸びているかを表す指標で、企業の成長性や規模の拡大ペースを分析する際に用いらる。
売上高成長率 = (当期売上高-前期売上高) / 前期売上高
ROIC(Return On Invested Capital)は投下資本(有利子負債 + 純資産)に対してどのくらいの利益を得られるかを見るための指標。
ROIC = 税引き後営業利益 / 投下資本
ROICが高いほど、企業は効率的に資本を運用していることを意味している。
今後の企業価値はキャッシュフローから資本コストを割り引いたものと表現できるが、キャッシュフローは売上高成長率とROICを合わせたものと表現できる。
資本コスト
企業が将来生み出すキャッシュフローのリスクにかんするもの。
リスクが低ければキャッシュフローが安定していて、リスクが高ければキャッシュフローの振れ幅が大きくなると捉えられる。
株式市場全体が盛り上がっていて、株価が上がっている状況ではリスクが高い(= 資本コストもあがる)と思われる。(その逆も然り)
そのため、時価総額にPBRの逆数をかけることで簡易的な資本コストの算出ができる。(ちゃんとした計算をするにはCAPMなどの手法を使うらしい)
伊藤レポートでは資本コストを
企業と株主・投資家の間にある暗黙の信頼関係、期待、役割と義務を含む財務・非財務両面を総合して企業が認識すべきコスト
と表現している。その上で本書ではほかの企業に投資をしていた場合に得られたリターンなどの機会費用を考慮して
この企業に株を投資するなら8%ぐらいは儲けが欲しいといいったような願望を示したのが資本コスト
と表現している。
EBITDA(Earning before interest taxes deprecation amortization)
EBITDAとは
金利、税金、減価償却、無形固定資産の償却を控除する前の利益 … 減価償却費が大きい企業や固定資産に多額の投資をしている企業を分析する際によく用いられます
簡単に言えば営業利益に減価償却費(事実上のキャッシュアウトが起こらない費用)を足したものがEBITDAとり、売上高とEBITDAの割合をEBITDAマージンと呼ぶ。
ROE
ROE(Return of Equity)は自己資本利益率と言って、当期純利益 / 自己資本(≒ 純資産)で計算できる。資本生産性を見る指標とも言われている。ちなみにROEはPBR / PERでも計算ができる。
ROEは分子の増減、分母の増減の計4パターンの変化があり、分子(利益)が増えて分母が減る(資本、投資)のが理想的で効率が良い状態である。ROEの逆数を取ると、何年で投資金額を回収できるのかが見えてくる。
より細分化して示すと、
ROE = 当期純利益 / 自己資本 = 資本の生産性(財務レバレッジ) * 資産の生産性(効率性、総資産回転率) * 売上高の生産性(収益性、売上高当期純利益率)
となり、より細かい分析もしやすくなる。
財務レバレッジ
財務レバレッジ = 総資産 / 自己資本 で計算できる。
自己資本を元手に総資産を得ることが財務レバレッジを示す。より少ない純資産で大きな資産を動かしているかを示している。それはある意味で自己資本を生産性高く活用しているとも言える。
総資産回転率
総資産回転率 = 売上高 / 総資産 で計算できる。
手元にある総資産からどのくらいの売上高を上げられているかを示す。同じ人数で多くの売り上げを上げれば総資産回転率はあがるので、分かりやすいところで言えば単価をあげるなどが考えられる。
売上高当期純利益率
売上高当期純利益率 = 当期純利益 / 売上高 で計算できる。
売上高から原価や販管費を差し引いたあとに残ったものが、当期純利益となるので、売上高当期純利益率を上げるには原価や販管費をできるだけ減らすことが手っ取り早い。業務の効率化などの効果はここに表れてくるのだと思う。
ROEとROA
たとえば10万円を元手に50万円を借りたとすると、レバレッジは5倍になる。
ROEを上げるには財務レバレッジの数値が大きい方がいいようにも思えるが、この例で5万円を元手に50万円を借りてレバレッジを10倍にしたとしても、借金は前より増えるのでリスクは大きくなる。
そこで、財務レバレッジを除いた総資産回転率 * 売上高当期純利益率のみで表される数値をROAと呼びROEではなく、ROAで分析することもあるらしい。
ROEとROIC
ROEとROICはどちらも企業の収益性を測る指標だが、着目する点が異なる。
- ROE = 当期純利益 / 自己資本
- ROIC = 当期純利益 / 投下資本
自己資本は負債とは異なり、返済義務がないため、ROEは企業の収益性と安定性を表す指標として用いられるのに対して、投下資本は借入金を含めた全資本を考慮するため、ROEよりも企業全体の効率性をより深く理解することができる。
借入金が多い企業は、自己資本が少なくなり、ROEが高くなる傾向があるが、その分リスクも高い。
- ROE: 株主への利益還元能力を見る際に有効
- ROIC: 経営戦略や投資判断を検討する際に有効
中期経営計画
企業の目指すべきビジョン、ミッションと現在地点の中間地点としての中期経営計画を立てることがある。主な内容は以下の通り。
- 目指すべきミッション
- 目標
- 外部/内部の環境分析
- 戦略の選択
- 戦略の実行
VRIO分析
戦略を考えるための分析手法で、Value、Rarity、Inimitability、Organizationの頭文字をとっている。
企業がもつ経営資源やケイパビリティに対して以下の観点を問うもの。
- Value:経済価値に関する問い
- Rarity:希少性に関する問い
- Inimitability:模倣困難性に関する問い
- Organization:組織に関する問い
戦略を考える時は事業、組織、財務の3つにわけて考える
- 事業戦略:どの事業を拡大するのか、縮小するのか、収益構造をどうするのか
- 組織戦略:事業戦略をすすめるにはどのような組織、人材、スキル、レベル、人事制度が必要なのか
- 財務戦略:目指すべき各財務指標の数値はどの程度か
ESG(Environment、Social、Governance)
責任投資原則というガイドラインにサインした機関投資家たちは、投資分析や意思決定にESGの課題組み込むことが求められるらしい。
ESG投資のもととなる情報は財務情報にでてくるものではなく、分かりやすいところだサステナビリティなどの取り組みだ。ESGの観点から見たリスクに対して企業がどういう課題認識を持ち、どういう対策を打っていくのかが考慮される。
企業の目線でみると、ESGへの対策はリスクを緩和すること、つまり資本コストを下げることであり、それは結果として企業価値の増加につながる。
目先の利益ばかりをアピールする会社ではなく、長い目で見てどういうリスクが考えられるのかをしっかり考えた上で経営に落とし込んでいる会社の方がリスクは少なく比較的安心して投資ができる。(ということなんだとおもう。)
こういった非財務情報が示す価値が、企業の時価総額の多くを占めるようになってきており、企業も統合報告書の提出が推奨されていたりするらしい。
統合報告書
財務情報と非財務情報を統合してまとめたレポート。ポイントとしては
- マテリアリティ:さまざまあるうちの社会課題に対してその企業にとっての優先順位をつけたもの
- TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく開示:気候変動に関わるガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4つの開示を求めている
また、とある企業では、非財務情報を以下のように数値化されていたりもするらしい。
- 知的資本:知的財産権や暗黙知を含む知識ベースの無形資産
- 人的資本:従業員の能力、経験、意欲
- 製造資本:製品、サービスを作り出す能力
- 社会関係資本:社内外の人的ネットワーク
- 自然資本:サービスを提供する上で利用できるあらゆる環境的リソース
SaaSメトリクス
SaaSサービスを提供している会社はこれまで見てきたような財務情報だけでなく、SaaSメトリクスと呼ばれる指標をKPIとしていることが多いらしい。
スタートアップでは特に営業利益が赤字だったとしても、資金調達を行いキャッシュを確保しつつ、SaaSメトリクスを重視する場合もあるっぽい。
株式公開買い付け(TOB)
TOBとは、上場会社の株式に関して、買付期間、買付数量、買付価格などの条件を公開した上で、不特定多数の株主から市場外で大量に買い付けることをいう。
コーポレートガバナンス
会社が株主をはじめ、顧客、従業員、地域社会などの立場を踏まえた上で、透明、公正、かつ迅速、果断な意思決定を行うための仕組みを意味する。
株主重視の経営、というのは株主を優先するわけではなく、最後の最後にお金や優待が回ってくる株主が満足していれば、その過程にいるステークホルダーもみんな満足しているはずだという考え方。なのかな?