小さなチームができること
2021年4月12日
私のチームは私の他に一人しかいない極小のチームである。
数が多いチームであれば「あの人にはこれをやってもらって、あの人にはあれを…」といったように適材適所に広い範囲をカバーしながらチームの戦略を立てることができる。
同じことを少人数のチームでやろうとすると、一人一人がもつ役割やタスクがあっという間に増えていくので辛い。
とはいえ、いきなり大人数から始まる、なんてチームはそもそもない。チームは少しずつ大きくなっていくものだ。
チームは大きくなっていくものなのか
チームを大きくする理由には、いくつかストーリーがありそうだが、結局は「そのチームがやっていることを加速させるため」だろう。
だが果たして、人数が増えることで加速することはできるのだろうか。人が増えることで得られるものといえば
- チームの総時間
- チームの総生産量
- 視点
人が増えればできることが増える、とも思ったけど、それは今いるメンバーと、新しく参加するメンバーができる領域が違うときに限られる。
とにかく量をこなすためならば、領域が重なっている方がいいかもしれないけど、新しいことや、やり方をスタートするのであれば、全く違う人材を参加させた方がいい。
オーケストラはいい例で、いろいろなパートがあるけど、人が少ない場合はまず各パート一人ずつとかでスタートして、それから同じパートの人を増やして厚みを出していく感じなはず。よく知らないけど。
負荷を分散させて空いた時間で別のことを考える時間をとることもできなくはないが、それは各メンバーがある程度主体性を持っている前提であり、そううまくはいかない気がする。
逆に、人が増えることで起こりうることといえば
- コミュニケーションコストが増える
- 一貫性が減る(バランスをとるにはかなりの統率力や仕組みが必要)
チームが二人の時と三人の時でも大きく異なる。1対1であれば、自分が伝えたいこと、相手が伝えたいことを直接伝えるられるが、そこに一人加わることで、間接的に情報が伝わるケースが発生する。これは割と厄介だ。
さらに多くなれば、メンバー間に派閥や軋轢が生まれることもあるだろう。それは人間だから仕方がない。
しかしそれは、同時に人依存の縛り(あの人とあの人は相性が悪いとかそういうやつ)のようなものも増えていく気がする。これはメンバーが多くなればなるほど顕著になる。
小さいチームだからできること
人が少なければ、多い場合に比べて、かけられる時間が少なく、生産できる量も少なく、視点も少ない。だからそれらが必要のないことをやるのに向いている。
太く広く長く多様性のあるものではなく、細く深く短く一貫性のあるもの。うーん具体的にはなんだろう。。
少人数で行われている仕事を思い浮かべてみよう。
- 車掌
- 一つのものを操縦する作業は、複数人で行うと認識の差でばらつきが発生してしまうため、メインとサブで分担することが多い。操作方法を体系化することで、マイルストーンごとにドライバーを交代できる。
- コックさん
- 車掌に近い。同じ料理に対して味付けを複数人でやるなんてことはほぼあり得ない。それぞれ別々の料理を作るが、食べ合わせた時の調和は予め決めておく感じかな。
- 作家
- その人の頭の中にあるストーリーを書き起こすので、誰かに任せることは難しい。出来上がったものに対して編集者という別の視点を取り入れることが一般的。
- 教師
- 小学校から大学まで、授業はだいたい一人の先生が行う。これはなんでか分からない。
二人一組で役割を交代するような仕事が向いている気がする。とくに、量よりも質(や非機能要件)が求められる作業。 現在進行形でやっているものに当てはめるとするなら、
- 記事の執筆
- 教育
- ルール化、枠組み化
- 新規技術の技術検証
あたりなのかなぁ。
速く行きたければ少人数で、遠くへ行きたければ大人数で行け、という格言があるけど、目的地が定められないと難しい。
まずやること
まずは
- やることとやらないことを明確にする
- 優先順位をつける
- 役割を明確にすること
- メインなのか、サブなのか、それぞれが何をやるのか
- 体系化を意識すること
注意すること
私は多様性というものを重じている方だという自覚がある。個人が突き抜けることも大事だけど、突き抜けた先が本当に正しいとは限らないから。
それに、一つのことで突き抜けるというのはかなり険しい道であるということも感じている。狭い世界で生きていくならいいかもしれないけど、
10年、20年先もお前はその世界で生きていくつもりか?
ということは常に自問自答せねばならない。一つのことしかできない人間は、それが消え去った世界では何者にもなれない。