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冒険する組織のつくりかた

2025年5月24日

けっこうファンになりつつある安斎 勇樹さんの冒険する組織のつくりかた。ミナベさんとのポッドキャストとかも結構きいていて、組織のことだけではなく情報発信の取り組み方とかも参考にさせてもらっている。

物事の整理の仕方が私にとっては分かりやすくてCCMとかの考え方を見て興味が湧く人はぜひ読んでもらいたい。冒険的世界観を持つ組織が増えていけば、何十年かあとには日本はもっとおもしろくなれると思う。知らんけど。


トップダウンで、いろいろなことが手順化され、その手順をミスなくこなせるように訓練を行う。まるで軍隊のような、この価値観の組織をさして軍事的な世界観という。軍事的な世界観では組織としての明確な目標があり、全員で息を合わせてその目標を達成することを目指す。

一方で、組織としての目標はあり、そこを目指しつつも、それだけではなくそれぞれの個性を活かし、またそれぞれが自己実現のための探求をする。その両立をするような価値観を冒険的世界観という。私の説明が下手すぎるので本を読んで欲しい。

軍事的世界観では、人は「リソース」と呼ばれ「誰が」その仕事をやるのかはあまり重要視されない。というか、この人しかできない仕事が増えると組織として成り立たなくなる。誰がやっても一定の品質のものができるようなテンプレートの作成、効率化が求められる。

もちろんそれが悪いとは思わないし、個人的には軍事的世界観にもいいところはあると思う。キングダムを見て、圧倒的なカリスマ性に心が熱くなることだって何度もある。ただ、正直言うとこれを何十年も続けていきたいと、私は思えない。

この本では漫画のONE PIECEを例に冒険的世界観を説明している。

この海賊団のユニークさは、各メンバーの自己実現の物語を尊重するからこそ、多少回り道になったとしても、ときには仲間の探究を助け合い、互いの絆を深めながら航海を続けている という点にあります。

私もONE PIECEは最初からずっと読み続けているが、たしかにそうだなー、という納得感がある。この漫画の大きな世界はゴールドロジャーの財宝を探す大海賊時代であり、この世界にいる海賊の大半はおそらく財宝を探すという大目的を持っている。

主人公の海賊団も「団」としての目的はそこにあるのだと思う。が、明示的に財宝を探しにいくぞー、という描写はないのではないかと思う。

それよりも「海賊王になる」とか「世界一の大剣豪になる」とか、メンバーそれぞれがもっている夢や意志のようなものの印象の方が強い。

そういうメンバーが集まっていて、自己実現のための探究をしながらも、海賊団としての旅もしている。対する海軍が完全に軍事的な世界観なのも非常にわかりやすい。

特に印象に残っているのは以下の段落だった。

ふつうは「麦わらの一味」ほど明確な「夢」があるわけではないと思います。その意味では、自分の内的動機に基づいて、より「“しっくりくる”自分」像を発見していくプロセスこそが「成長」なのだと言えます。その過程でスキルが磨かれることはあるでしょうが、それはあくまで自己実現の手段や副産物にすぎません。

1on1とかでも、半年後どうなっていたいですか?とかよく聞いたりすることがある。新しく入社する人たちにも、何かその人なりの考えがあって、この会社に入ってくれたのだろうという期待もある。夢が明確な人の方が、まっすぐ突き進んでいて、行動力がある印象もある。それはそうなのかもしれない。

ただ一方でいわゆる「夢」のようなものは簡単には見つけられないというのもわかる。夢に向かって頑張ることだけを成長と捉えるのではなく、それを見つけることも成長だ、というのは大変心強い言葉だと感じた。

ほんとはほかにも60箇所以上ハイライトを引いたのだが、これは一回読んでまとめられるような本ではなさそうなので、組織作りの取り組み方に悩んだらまた読み直そうと思う。