スタンフォード式最高のリーダーシップ
2020年3月29日
「スタンフォード式 最高のリーダーシップ」を読んだ。これまで読んだ本の中で一番マーカーを引いた本かもしれない。
ちなみに読了したのは2019.7.25。読んでからだいぶ日が経ったけど、おさらいしておこう。
私たちは、『この人についていきたい』という偉大なリーダーを探すのではなく、 自分自身の中にリーダーを見つけなければいけないのです
ここで語られている内容とは違うかもしれないけど、リーダーはリードされる人がいて初めて成り立つ役職だと思う。一人チームにはリーダーは現れない。 ただしそれはチームにおけるリーダーという役割の話であって、リーダーシップとリーダーは違う。
リーダーだけでなく、一人一人が自分自身をリードするためのリーダーシップを見出さなければならない。チームのリーダーにはチームを引っ張り、時にはメンバーの背中を押すリーダーシップが必要だが、 個人を引っ張ることができるのは、あくまで自分の中にあるリーダーシップなんだろうと思う。
医師や医学生が一人の人間として、自分の弱さや失敗にどう向き合うかという演習
医師はひとつのミスが文字通り命を取ることになる。支配型リーダーだと他の社員が口出しできなかったり、ミスを報告するのが怖くて、医療ミスが多発するらしい。
そこで必要なのは「弱さ」なのだそうだ。カルチャー・ナラティブ・メディスンという演習を通して弱さへの適切な対処法を学ぶことで患者や他のスタッフの話に耳を傾けることができるようになるのだとか。
確かに人間は完璧ではないし失敗も間違いもする。でもそれを前提に考えてはいけない。たまに開き直る時があるから気をつけたい。
自分が弱いと感じるのは、自分が想像していた通りにいかなかったり、自分の予想を下回ったときが多い。冷静になってネクストアクションを考えることが大事だ。
リーダーとして一目置かれるように、努力している人もいる。 だが、あまりにも〝一目置かれる表現〟にこだわりすぎると、 「優秀さのアピール」という間違った方向にいってしまう。
弱さを適切に対処できる人はきっと、さりげなく隙を見せる。周りがツッコミやすいような雰囲気を作る。そういうリーダーの周りには人が集まる気がする。
だが、ビジネスパーソン、とりわけリーダーが「自分たちだけで通じればいい」という発想で専門用語を使うのは、リーダーシップに反するやり方となる。
これなぁ〜〜マネージャーレベルのエンジニアと会話すると、なにそれ?というワードをどんどん出してくる。知ってればすんなり理解できるんだろうけど、知らないとそっちに気を取られておしまい。
いっぽう、集団が感情を共有するために、言葉はいらない。表情、ボディランゲージ、声のトーンなど、言葉にならない非言語的な情報で感情は伝染していく。注意したいのは、 チームの一人が抱いたリーダーへの不信感も、ほかの人に伝染していくことだ。
自分のチームはメンバーが二人しかいないし、二人とも自立しているから問題視はしていないけど、会社全体で考えると嫌な感情が根付いてしまっている気がして不安でならない。 逆に自分が上司に対して不信感を抱いてしまうと、それはメンバーに伝染してしまうので気をつけたい。
弱いリーダーは「若い社員が育たない」と愚痴をこぼしているかもしれないが、育たないのではなく、 そのリーダーが「育てていない」 のだ。
はい。すみません。
「自分を知らないと、人のことも深く理解できない。だから自分を知って、その知識や経験から他者を理解できるようになりなさい」
他人を知るにはまず自分が他人をどう理解しているのか、というメカニズムを知る必要がある。大事なのは自分がその人をどう思うか、であって他人が他人をどう思うかについては関係ない。
自分を理解する上で大事なのは、
つまり、 「これが私だ」と思う自分と、他者から「あの人はこういう人」と見られる自分を合わせたものが「自分」 だという考え方
という視点。自己分析をする際は、自分だけでなく他人にも自分はどういう人かを聞く必要がある。
客観的になれる余裕があってこそ、本当にその人のために行動できると知っておこう。
メンバーが落ち込んでいるときにリーダーも一緒になって落ち込んでいたら救いようがない。共感するのも大事だが、時と場合を見極めるのも大事。一歩後ろに下がって今後どうしていくかを考える必要がある。
アサーティブリーダーに大切なのは、エゴと謙虚さのバランス感覚。つぎの4つのリーダーシップを組み合わせるのがよい
① Authentic Leadership
- 本当の自己を知る -> 弱さを認める
- 本当の自己を積極的に表現できるようになる -> 役割、性格を超える
- 自分の人生のリーダーになる -> 人と比べない
- 信念に基づいて行動する -> 生涯の大きな目的を見つける
- 人から信頼される
問題は、そこからどう立ち直るか。失敗から何を学ぶか。そして、 失敗する前よりもどれだけ強くなるか
失敗する前よりもどれだけ強くなるか。これが特に大事だ。失敗を失敗のまま終わらせていたら、一生強くなれない。上に上がるためにはその失敗をひとつずつ乗り越えて、すこしずつ強くなっていく。
壊れた部分を、目立たないようにする必要はない。それは美しさと強みなのだから。
…
「これが私だ!」と受け入れ、堂々と振る舞うことが、自由への道なのだ。
金継ぎの話は本当に美しい。客観的にみて欠陥を隠すのではなく欠陥を装飾することで、唯一無二の価値を生む。人生も一緒。
自分に同調してくれる人しかまわりにいないと環境は、正直面白くない。考えた結果同じであればもちろんいいのだが、自分の役職にただ同調されているのであれば、役職を超える必要がある。
マルチタスクの反対 「シングルタスク」 の習慣だ。
集中力を高めるには瞑想を取り入れる、と言われているが、瞑想はひとつの手段に過ぎない。大事なのは、一つのことを集中して続けること、つまりシングルタスクである。
瞑想の場合は、呼吸というシングルタスクにフォーカスする時間をとることで、結果として集中力が高まる。瞑想でもなんでもいいから「これをやるといつでもどこでも集中できる」というメソッドを持っておくのが大事。
上司が「この件は、私のほうから声をかけるよ」と言えば、部下は決して忘れない。多忙な上司が〝この件〟そのものを忘れてしまっても、部下は「いつ声がかかるのか」と待っている。これを繰り返すと、人としての信頼が失われていく。
これは今年のテーマ。この一年間はだいぶ約束を破ってきたので気をつけよう。信用というのは積み重ねだ。土台が消えるとあっというまに崩れ去る。
自分が間違っていないかどうかを、「同じ内容の本」という他者の視点から見て再確認しているのだ。
これはなかなかおもしろいと思う。もちろん間違っていると思いながらもやることはないが、図らずも間違っていることはあるので、書籍を読んだり、メンバーと話して定期的に答え合わせをする必要がありそうだ。
② Servant Leadership
「サーバント」とは召使いを意味する言葉で、つまり、リーダーは部下に仕えるものになれ、ということ。極端ではあるが、これは一見そう見える、という話で、実際に仕えているわけではないという認識。
「リーダーたるもの、一歩下がって援護に回り、部下を前に出して、主体的に取り組ませなさい。 部下が上司にリードされたことに気がつかず、『自分でやり遂げた』と思えるくらい、自然にリードしなさい」
ここまできたらもう催眠に近い。どこからどこまで任せればいいのかの判断がめちゃくちゃむずい。
時代や状況、やる人が変われば、前に試してダメだったことがうまくいくことも大いにある
確かに。新しくリリースしたサービスも今は売れないけど、もしかしたら数年後には売れるかもしれない。また、昔は売れなかったサービスが今になって売れ始めるかもしれない。
自分が前に試してみて、あんまりよくなかったものを、再度自分が試すとは思えない。そうなると、そのものが持つ可能性に気づくことができなくなってしまう。
「自分の意思で選択し、A社のプレゼン担当になった」と思ったほうが、 自発的になれるし、モチベーションも高くなる。
なにをやらせるかを決めてしまうのではなく、選ぶ機会を与える。やるかどうかを本人に委ねる。これも次の1年で意識しておきたい項目。
③ Transformative Leadership
3つめは、チームに変容をもたらすリーダー。変化というものは起きるものではなく「起こす」もの。自分を変容させ、チームを変容させることができるリーダーシップ。
Think Globally but Act Local.
このスローガンめちゃくちゃいい。地球規模で考えて、いまできることからやって行く。これはチームのスローガンにしよう。
「この世に生き残るのは、力のある者ではなく、知識を持つ者でもなく、変化できる者だ」
柔軟性に近いものも感じる。周りの変化に適用できることは、持っている力や知識を柔軟に変化させることができ、どんな状況にも落ち着いて対処できる。
リーダーがチームを変えるには、4つの「I」が必要である。
Individualized:メンバーをチーム全体ではなく一人の人間として尊重する Intellectual:新たな課題に挑戦し、リスクを取ろう。 Inspirational:わかりやすく明確にビジョンを伝えよう。 Idealized:理想のロールモデルとなろう。
大事なのは、リーダーがチームを変えることではなく、メンバー自身が変わる手伝いをすることで、結果としてチームが変わるということ。
どんなに逃げ回っても、結局電撃を食らって苦しむ仲間の姿を見ているから、「何をやっても無駄だ」とあきらめてしまうのだ。これを 「学習性無力感」 という。
学習性無力感が社内全体に蔓延しているような気がするので、インパクトのある成果はできるだけ外に出していこう。
リーダーには言いにくいことを言ってでも部下を成長させ、チームを変える責任がある。
そして部下を守るために、上司に言いにくいことをいってでも、チームを守り、会社を変える責任がある。フィードバックするときに大切なのは、
いくら正しくても、 正しいことをそのまま言うのは、正しいことのようで正しくない。人を論破しても、心は動かない。前述した通り、人間は理論ではなく、感情で動くのだ。 … いくら正論でも相手のためにならなければ、フィードバックにはならないのである。
正しいことを言われても、建設的な議論に発展するケースはマレだ。なぜなら正しいから。反論をする必要がないのでその通りです。で会話が終わってしまう。
なぜそうできなかったのか、または正しいものをよりよくするにはどうすればいいのか、という話をした方がいいに決まっている。
とくにこの業界はWeb標準とか、仕様というのが策定されていて、それ以外は悪と考える人が多い。単純に知らなかった、ということであればそれについてはもう知ったので解決でいい。
ただ、なにか理由が悪になってしまっている場合や、悪に至るまでのプロセスがそうさせている、ということを想像できない人が多いのかな、と思う。
また、仕様に則ることで犠牲になる面も多からずあるので、仕様以外が悪、というのはやや早計な気がする。
大事にしたいのは、どうすれば自分で正解にたどり着けるようになるかをフィードバックしてあげることだ。
「弱いリーダーだと批判されるかもしれない」という恐怖を受け止め、本当に必要なときに後退の決断ができる人。それは弱いリーダーではなく、強いリーダーにほかならない。
新しい施策を始めたときは定期的に振り返って、やめる決断をしなくてはならない。ここまで継続的にやってきたのに…ということは関係ない。(なくはないが)
大事なのは今、そして将来的にその施策がなんらかのプラスをもたらすかどうか。惰性でやっていることに身を置くのは楽かもしれないが、プラスにはならない。
理想のチームには次の5タイプのメンバーが必要とされている
- ①タスクを遂行するためのタフで外交的なメンバー
- ②チームの意思決定に賛成する、軋轢をうまない協力的なメンバー
- ③質の高い仕事を形にする誠実で真面目なメンバー
- ④いるだけでなにかあっても動揺せずに済む、温厚なメンバー
- ⑤想像的、かつ想像的なアイディアを取り入れるオープンなメンバー
せめて⑤の人材が欲しい。
リーダーはどんなときも、自分を、部下を、そしてチームを「満月」としてすべて知っておかなければならない。
その時々に見える状況で判断するのではなく、これまでを全て踏まえたうえで接する必要がある。余裕が必要だ。
④ Cross-Border Leadership
人と人との間にある様々な壁、境界線をこえて違いを尊重したうえでメンバーをまとめあげていく。
あらかじめ断っておくと、 壁自体は悪いものではない。壁は自分自身を形づくる大切なものでもある。
壁、というとなんとなく悪いもの、壊すべきもの、超えるべきもの、と捉えがちだが、まずは壁がないことには超える対象が見えてこない。壁は必要なものだ。
また、こちらとあちらを仕切る役割を持つものであるのだから、こちらが勝手に超えてはまずいこともある。巨人が壁を超えてくるのと一緒だ。
そういう場合は壁にドアをつける(窓口を設ける)程度にした方がいいかもしれない。
みんなと同じに見える人の中にも、違いを抱えている人はいるはずで、それをオープンにできたら生きやすくなるだろう
オープンにすることは勇気のいることだ。そういうことはリーダーが先陣切ってオープンにしておく必要がある。もちろんしたくないことを強制するものではない。
結局、問題点がわからないのにそのままにしておき、トラブルが発生することもあるのは、「空気読み文化」の負の側面だ。
これも起こりがちな現象。だれも何も言わずに誰かが先頭に立つのを待っている。その人が進む轍をみて、ダメだと思ったらまた消える。リスクをとって先頭に立てる人材が少なすぎる。
いくらかつての上司が素晴らしくても、同じようにする必要はない。あなたはあなたらしいリーダーシップを発揮すればいい。
おっしゃる通り。その上司と同じことをしていては、良くてもその上司と同じレベルにしかたどり着けないのである…。元上司の良いところと自分の良いところを組み合わせることで初めて成長できる。
自分に必要なものや自分を成長させてくれるものは膜を通過させ、そうでないものは受け入れなければいい。
今年のテーマは自分のために生きること。そのためにはこの考え方がとても大事になってくる。日々なんとなく仕事をこなして、自分のやりたいことを後回しにしていたんじゃ、きっと将来後悔する。今すぐ動かないと。
マーカー引きすぎてまとめ直すのも大変だった。とはいえ、こういうマインド的なものってホントに意識して生活しないと全くみにつかないんだよなぁ。こんだけマーカー引いたところで、実践できるのはせいぜい2,3個くらいだと思う。
まぁ、いつでも読み返せるようにってことで記録。