ザ・ダークパターン
2023年1月9日
多くの人は自分はダークパターンなんてやったことない、と思うんじゃないだろうか。もしそれが本当なら、この本は出版されてないし、ここまで話題にもなっていないと思う。
「ダークパターンを活用する悪い人向けの本だ!」って?そんな悪い人がこんな本を読んで改心するわけがないでしょう。
この本は、自覚のない我々と、ユーザーに対しての啓蒙をする本なんだと思う。
たった1行のメッセージでユーザーの行動は大きく変わる
「もしインターフェースから全ての言葉が消えてしまったら」という箇所があったけど、いままで考えたこともなかった。
Webサイトを作っている時には原稿流し込むことが多くて、正直何が書いてあるかなんてあまり気にしてないことが多いと思う。なんならダミーテキストのまま画面を作って、CMS投入する時にテキストを変えるということも多い。
これは見た目ありきの作り方で、実際に書かれているテキストと、UIの整合性があわなくなることが起きやすい。
最初の段階でテキストを中心としたコンテンツファーストの考え方が大事になる。
ヒューマンエラー
ヒューマンエラーはミスを起こした本人に責任が集中する傾向があるが、そうではない。エラーが起きない仕組みになっていないことが問題である。
ヒューマンエラーのパターンには以下のようなものがある
- スリップ:ある行動をするつもりが、実行した行動は別のものだった
- ラプス:実行段階で踏むべきプロセスを失念していた
- ミステイク:そもそもやろとしていたことが間違えていた
最適なデフォルトを考える
人はデフォルトの設定を変えない傾向がある。
- 9割以上のユーザーが選択するもの
- 中立的な選択肢を与える
- ユーザーにリスクが低いほうをデフォルトとする
サンクコスト効果
ここまでやったんだから、最後までやってしまいたい(ここまでに費やした時間を無駄にしたくない)と思わせること。
A/Bテストからはその裏で起きているブランドへの影響は測れない
マイクロコンバージョンのためにユーザーに肩身の狭い思いをさせてはいけない
ダークパターンのパターン
- スニーキング
- 知らない間にオプションが追加・選択されている
- アージェンシー
- 期限を示して煽る手法
- ミスディレクション
- 二重否定など選択が誤っていると思わせるようなテキストを使う
- ソーシャルプルーフ
- 判断に迷った時は、大勢が下した判断が正しいと思う心理を利用した手法
- スケアシティ
- 根拠の分からない希少性を示してユーザを焦らせたり、安心させる手法
- オブストラクション
- ユーザの希望するアクションを実行しづらくする
- フォースドアクション
- ユーザが求めているコンテンツへのアクセスに条件をつける
ノーススターメトリック
ノーススターメトリックは私たちがビジネス本来の目的を見失わないようにするためのものです。
売上をあげるとか、コンバージョンをあげるみたいな会社が成長しているかどうかという視点の目標ではなく、社会に貢献できているのかどうかを指標として定めるもの。
ノーススターメトリックから以下のようなことを意識するといい。
- 顧客がそのプロダクトのどこに価値を見出しているかを表していること
- 組織が実現したいビジョンや戦略を読み取ることができる
- 遅行指標ではなく先行指標である
- 自分達の手が届く範囲で実行可能である(外的要因に左右されない)
- 誰もが理解できる
- 計測可能である
カウンターメトリック
KPIやノーススターメトリックを最適化し、意識しすぎた結果ユーザが不利益を受けるような状態になっていないかをたしかめるための指標。
クリック率をKPIとしたときのカウンターメトリックはコンバージョン率になる。コンバージョンが上がってないのにクリック率だけ上がっている場合はどこかにダークパターンが潜んでいる可能性がある。
ダークパターンから脱するために
- 本当に達成すべきことは何かを忘れないこと
- 定量的なデータを過信しすぎないこと
知らなかった単語
- ナッジ
- 相手や社会にとってよりよい選択をさせるためのテクニック
- 個人の選択を制限することなく、ベターな選択をさせるための情報を提供したり、仕組みを考えたり、工夫をする
- 年金をデフォルト加入にし、嫌な人には解約してもらう
- 電気代の比較情報を提供する
- メニューの並び順を変更する
- スラッジ
- 本人の利益にならないナッジ
- 消費者行動モデル
- インターネット時代のモデル:AISAS(Attention・Interest・Search・Action・Share)
- SNS時代のモデル:SIPS(Sympathize・Identify・Participate・Share/Spread)
- カプトロジー(Computer As Persuasive Technology)
- デジタル技術を人を説得するためのものとして扱うための研究
- バイヤーズリモース
- 高額な買い物をした後などに、後悔や不安を感じる心理状態
- あおりや同調圧力によって本来必要ないものを買わされた(買ってしまった)時に感じやすい
- バイヤーズリモースは長期的な不利益や信頼失墜につながりやすい(最悪周りも巻き込んで大きなムーブにもなりうる)
- FOMO(Fear of Missing Out)
- 自分だけが何か大事な情報を見落としているのではないかという不安
- JOMO(Joy of Missing Out)
- FOMOを積極的に受け入れ、楽しむ姿勢